2022 SXSW
The New Japan Islands
2022 SXSW
セッションタイトル:
定在遊牧民化によるカーボンニュートラルそして 茶文化
1980年のナムジュンパイクのインタビューの中に、定住する遊牧民(Stationary Nomad)という言葉が現れる。脱炭素社会に向けてエネルギー消費を減らしながら、地球上の様々な場所で活動する概念を表した言葉だ。その言葉を標榜して、彼は電子的なカンバスが世界中に現れ、アーティストがプログラムで表現する時代、現行のNFTが花開くような時代を予見していた。ポストコロナ時代に分断され、脱炭素に向かう社会は40年越しで定住する遊牧民に近づきつつある。
我々は今まで日本のローカル文化を通じてデジタル社会を観察し、SXSWでこれまでデジタルによる地域社会の再構築による発酵性、民藝の再定義、ポストコロナ時代に分断されたコミュニティへオンライン上で培われるコンヴィヴィアリティの導入などを行なってきた。
本講演ではそれらの文脈を簡潔にまとめた上で、森林生態系と共に生きてきた日本の歴史や、地域生態系の中で価値を数百年単位で高めてきた茶の文化、エネルギー問題と向き合ってきた70年代のメディア芸術の総括と現代社会での意味の再検討を行いながら、再起的に定住する遊牧民化する我々について思考し、70年代物質性・時間性から離れることの難しかった時代のアイデアを2020年代の計算機的自然生態系の思考を元に更新することを目指す。
2021 SXSW
The New Japan Islands
2021 SXSW
セッションタイトル:
東洋の祝祭文化を通して考察するオンライン・コンヴィヴィアリティ
ポストCOVID-19の風景の中に祝祭性を探している。SXSW2019&2020では地方性を生かしたデジタルの技術の方向性として、地産地消の技術的進化論について言及しデジタルネイチャーおよびデジタル発酵というコンセプトを導入した。その上で各ローカルのテクノロジーによる民藝性や民藝とも言えるようなテクノロジーのあり方について考察を深めた。COVID-19以降まさに世界は分断され、地産地消の民藝的展開がデジタルを介して繋がるようになった。そういった風景の中でオンラインの試みはどうやって祝祭性やコンヴィヴィアリティを回復することができるだろうか。東洋の祭りにおける共同体の維持、東日本大震災以降の日本の祝祭のケーススタディ、オンラインイベントのユーザーインターフェースやメディアアートに関する知見を経由して、祝祭性を回復させ、オンラインの非同期の祝祭の体験価値をいかにして向上させるかを議論する。
2020 SXSW
The New Japan Islands
2020 SXSW
展示のテーマ:
ハイパー霊性~超感覚がめぐるところ~
2020年3月、米国の「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)にて開催予定だった今年で2回目の The New Japan Islands(ザ・ニュー・ジャパン・アイランズ)は、コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。
代わって同年3月22日、東京・日本科学未来館にて、SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)の公式イベントを継承する形で中継配信が行われた。
人々がリアルに集い、語らい合う場がウイルスによって分断された今、新たに知を共有する方法を試みた。
今年のテーマは、ハイパー霊性 -超感覚がめぐるところ
Cycles of Hyper Intuition サイクルズ オブ ハイパー イントゥィション
The New Japan Islands 2020(ニセンニジュウ)では、日本古来の美意識である「霊性」に焦点を当て、デジタル時代の感性を織り交ぜ、新たな創造と美の哲学を訴えた。
中継会場の日本科学未来館では、会場の空間コンセプト「霊性のたゆたう場所 Field of Divine Nature フィールド オブ デバイン ネイチャー」を再現。
メインの展示空間では、12.4×7mの巨大な壁に、NHKグループにより8K撮影された「民藝」が映し出された。
名もなき先人たちがつくりあげた、縄文から平安、鎌倉、江戸、明治、昭和の時代までの「民藝品」18点。それらは土地の自然に根ざし、もの自体への内観的かつ直観的な「美」から生まれた結晶である。民藝を、3200万画素の8K映像で「体感」する。人間の視覚の臨界を超えたその体験は、アナログとデジタルの境界を超えた、ハイパー霊性(Hyper Intuition)を喚起する。霊性のたゆたう場所にこそ、未来の創造の種(たね)がある。8K映像で投射される民藝の「美」からは、人間対自然、革新対伝統といった二項対立を超えて、生命と調和するしなやかな美意識が浮かび上がる。
中継では、3回にわたるパフォーマンスと、10個のセッションが行われた。中継時間は、米国(アメリカ)の観客を対象とし現地時間の午後18時から深夜2時半まで。
8時間半におよぶ中継配信では、TwitterやZoomを介して多くの意見や問いが各国から寄せられた。オンラインで知を共有し、世界中で対話を重ねていく新たな起点となった。
人類の歴史の中で、我々はかつてないほどの「価値の転換」を迫られている。ウイルスによって人々が分断され、オンラインコミュニケーションにおける、さらなるオーディオビジュアルの解像度が求められるようになった。
かつて人は、制御しえない自然への畏怖の念を身体(しんたい)を通じて感じていた。今、ウイルスという「自然」が契機になり、我々の身体は再定義を迫られている。
ネット上を行き交う無数のイメージは、制御不可能な濁流となり私たちの身体に流れ込む。いま我々の身体は、旧来の自然とデジタルが混ざり合う新たな「自然」の中にあるのだ。
そのとき立ち上がる「ハイパー霊性」とは何だろう?
人智を超えた「デジタル自然」と、人為を超えた「超感覚」が交錯し、新たなバナキュラー的創造が生まれゆく。「ハイパー霊性」は「創造」のかたちを再定義するのだ。
私たちはこれからも、新たな自然環境の中、原点から未来を俯瞰する「0次産業革命」の提案を続けていく。
分断を乗り越え、デジタルと自然の融合する先にある、新しい身体性や文化の芽生える未来を見据えて議論し、世界と共創を続け、ここで生まれるイノベーションと対話を共に育んでいきたい。
セッションタイトル:
テクノ地政学の民藝的展開
世界の「テクノ地政学」について、今までの個別地域のデジタルイノベーションの特徴は、例えば、プラットフォーマーと資本循環指向のカリフォルニアンデジタル、理念や制度とサスティナブルを基にしたデザイン重視のヨーロピアンデジタル、国家政策と製造業が結びついた中華的デジタルなどに類型化されている。地域のDNAや「用の美」に基づく日本の「民芸」は、工芸品であると同時に哲学でもある。日本は経済的成功だけを目指しているように見えがちだが、今回スピーカーは、外部からのアイデアを解釈し、融合することによって、日本のデジタルイノベーションの裏側で民芸がどれだけ強い影響を及ぼしているかを語る。テクノロジーの進化を民芸によって解釈することで、世界のデジタル生態系の再定義し、俯瞰する。
スペシャルスポンサー :
ソフトバンク株式会社 / パナソニック株式会社
スポンサー :
八海醸造株式会社
特別協力 :
公益財団法人 日本民藝館
協力 :
アストロデザイン株式会社 / 株式会社アマナ / 森ビル株式会社
8Kコンテンツショーケース :
日本放送協会(NHK)
後援 :
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
2019 SXSW
The New Japan Islands
2019 SXSW
展示のテーマ:
デジタル発酵する風景
いま、私たちを取り巻く社会は刻々と変化を遂げている。
非中央集権的なエコシステムの理想郷だったインターネットは、フィルターバブルやデータビジネスの利権集中など、新たな社会課題を引き起こしてもいる。
その一方で、テクノロジーインフラが根付いた土壌にこそ、新たに育まれるエコシステムもある。食やデジタル文化、サブカルチャーなど、日本という島々で生まれた文化の種々は、あらゆる事象が複雑に関わり合いながら、新たな種を生み出し、人知をも拡張して、また共生していく。インターネットに常時接続されたデバイスや人の生み出すミームは、我々の社会で独自進化し、自然とテクノロジーが融合し、工業社会の次の風景を作り出しつつある。
その変容する日本文化の生態系は、目に見えない無数の微生物たちのはたらきによって発酵が進むように、互いの個を主張せず、公/私の境界があいまいなまま“発酵”を続ける、包摂的なエコシステムとも言えるだろう。カオティックに発酵していく景色をポジティブに受け止め、ポップカルチャーをも内包しながらにして、排他的でない未来ビジョンを提示する。それが本展示のテーマである。
セッションタイトル:
自然と美意識:日本からの新しい理論
日本文化における美のコンテクストは古来より「詫び寂び」と呼ばれ、「実用」と「美」の融合、言い換えれば「テクノロジー」と「アート」の融合であり、登壇者 Intelligent Future 落合陽一代表取締役CEO 共同創業者 ピクシーダストテクノロジーズ(株)私たちの日用品の中に取り入れられてきた。またこういった美意識は、複雑さとシンプルさの間の安定を図る弛まぬ研鑽によって培われたものである。しかしながら近代になると、特にメディア論的にはテレビの登場により、マスメディアは、洗練された自然観から離れて、中流階級の平凡な価値観を押し付けてきた。そして今再び、IoTやAIによって全てが計算機化され繋がった社会では、人工と自然が接続する新しい世界が生まれる。私たちは再定義された日本の美のコンテクスト「詫び寂び」を通して、70年代から現代までを俯瞰し、新しい自然論を導き出す。
Award :
SXSW 2019 Creative Experience “Arrow”, Best Immersive Experience
https://www.sxsw.com/news/2019/2019-sxsw-creative-experience-arrow-awards-announced/
スペシャルスポンサー :
ソフトバンク株式会社
スポンサー :
吉本興業ホールディングス株式会社
後援 :
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) / 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO) / 札幌市(北海道) / 浜松市(静岡県) / 永平寺町(福井県)
協力 :
日本科学未来館(Miraikan) / 日米協会 オースティン支部 / にっぽんの宝物
メディアパートナー :
フジニュースネットワーク(FNN) / news zero / ASCII STARTUP / Business Insider Japan / Gizumodo / DIGIDAY / 株式会社ニューメディア